きりんさんパパのあくび

共働きで二児の子育てに追われるパパの雑記。育児ネタ、簡単料理、家庭菜園、DIY、商品紹介など色々と書いています。作業療法士というリハビリの仕事をしています。

一人の作業療法士として、父親として、「子供が障害を抱えているのではないか」と悩むお母さんに伝えたい事。

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今日の朝、子供達を保育園に連れて行くと、娘(6歳)が「あ〜!手を拭くタオル忘れたー!」と私に言いました。娘は来月から小学校に入学するので、基本的に保育園のお支度は本人に任せているのです。娘が保育園のお支度をするという事は、普段リハビリの仕事をしている私からするとトレーニング(訓練)と同じで、「忘れた!」という経験を通して、忘れ物をしない為の脳を鍛えていると考えています。

お支度をするという行為には様々な能力が必要です。「保育園のお支度とは未来の保育園で起こりうるイベントを頭の中でシミュレーションして、必要な物品を忘れ物の無いように注意深く用意する事である。」と言い換えるとだいぶ印象が変わるのではないでしょうか。お仕度が出来るようになるという事は、「注意力」「記憶力」といった能力以外にも、実はたくさんの能力が必要なのです。

「忘れ物」と言うと、「忘れっぽい」「覚えていられない」などのイメージから「記憶力が悪い」と思われがちですが、実は「注意力が悪い」場合の方が多いです。自分が小学生の頃を思い出して下さい。忘れ物の多い子って何となく落ち着きの無い子が多かった印象が無いですか?忘れ物をする事と注意力が無い、落ち着きが無いという事は表裏一体だったりするのです。落ち着きの無い子供は往々にして記憶力も悪い。

私が小学生の頃を振り返ると、クラスに「あれ?ちょっとみんなと違うな」って感じの落ち着きの無い子が何人かいた事を思い出します。早い段階でボーダーの子供が専門家の目に留まる機会が増えた現在であれば、もう少し充実した学校生活を送れたのではないかなぁなんて思ったりもします(辛い目に合っている姿が薄っすら記憶にある)。早めに専門家の然るべき意見を聞けるという事は本当に大切な事だと思います。

お母さんから「うちの子は落ち着きが無くて…」とか「注意力が続かなくて…」なんて相談をよく受けます。小学校の入学に際して、「支援級」か「普通級」で最後まで悩むお母さんも多いです。最近はボーダー(障害なのか判断が難しい)のお子さんが多く、障害に対する理解が深まってきているとも言えますが、それだけ進路に悩むママも増えているという事でもあります。

「何が何でも普通級!」なんてお母さんもいます。でも、私はその子に合った環境に身を置く方が子供の能力は伸びると考えています。目標が高すぎると、能力が伸びる前にドロップアウトしてしまう可能性が高いのです。自分の子供の障害を受け入れる事が出来ない気持ちも分かりますが、最終的に辛い思いをさせてしまうのはお子さんです。「障害」であるか「個性」であるか、言い方は難しく非常にセンシティブな問題ではありますが、一つ言える事は「お子さんの能力が成長曲線から外れている」という事実です。事実から目を背けるという事は結局は守るべき大切なお子さんを傷つける事につながります。

ただ忘れっぽいのか、障害と言うレベルで忘れやすいのか、子供の場合は特に判断が付きにくいのですが、作業療法士という立場上判断を求められる事も多いです。その際に、医者にどう説明するのか、母親にどう説明するのがベストか、本当に悩みます。検査をすれば基準値より能力が高いか低いかは出ますが、障害か障害で無いかの判定は結局人間がするのです。なので、障害か障害で無いかという事よりも、お子さんの能力から目を背けずに向き合う親の姿勢の方がよっぽど大事だと思うのです。障害でも障害でなくても可愛い我が子に変わりはありませんよ。障害でも障害で無くてもどっちでもいいじゃないですか。

「落ち着きが無い」「忘れ物が多い」と悩むお母さんは多いです。でも、それも含めて愛すべき我が子なのです。障害か障害でないかで悩むママと接する機会の多い、一人の作業療法士として、二人の子供を育てる一人の父親として、悩むママに伝えたい事。誰かの心に届くといいな。