きりんさんパパのあくび

共働きで二児の子育てに追われるパパの雑記。育児ネタ、簡単料理、家庭菜園、DIY、商品紹介など色々と書いています。作業療法士というリハビリの仕事をしています。

叱る目的は明確か。出来ない理由を作業療法士の視点で分析すると、子供へのイライラが少しは解消されるかも知れません。

出来ない事には理由がある

何かをしようとした時、必ず「出来る」or「出来ない」という結果が生まれます。仮に「出来る」を〇、「出来ない」を×、あと「半分くらい出来る」場合を△としましょうか。例えば子供がお片付けをしない場合、親としてはイライラしてしまうのですが、作業療法士としての視点で見ると、子供の頭の成長が、身体の成長が、心の成長が、お片付けをするに耐え得る能力を有するまでに成長しているのかどうかを考えます。大人と違って子供の場合は発達段階的な〇×△を考える必要があるので少し大変です。

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出来ない子供にどう教えるか

作業療法士のようなリハビリ専門職の場合、同じ「出来ない」でも「出来る能力があるのに出来ない場合」と「始めから出来る能力が無い場合」では患者さんへの対応方法が変わってきます。

大雑把に言って、能力のある子供には反復練習や繰り返しの指摘、能力の無い子供には課題の難易度の見直しを行います。ここで大切なのは出来ない理由によって対応が変わるという事です。出来ない理由を考えずに、「出来ない→怒る」を安易に繰り返していると、子供に思いもよらない負担をかけ続ける事にもつながりかねないのです。

能力の有無を判断する方法

子供の発達段階をどのように見分ければ良いでしょうか。専門家であれば評価バッテリー(検査)を参照する事もありますが、一般の家庭でそこまで細かくみるのは難しい事ですよね。そこでオススメなのは保育園や幼稚園で接する周りのお友達と自分の子供を比較する事です。

同じ学年の子供であっても、月齢が12ヶ月近く空いてしまう場合もあるので一概には比較する事は出来ませんが、同じ年代のお友達と比較する事で出来ない理由が月齢によるものなのか、発達の遅れによるものなのかの判断材料には十分なります。周りのお友達と比べて明らかに目立ってしまう場合や保育園や幼稚園の先生から繰り返し指摘される場合は早期に発達の遅れに気付くきっかけになります。

でも、多くの場合は「うちの子は出来るはずなのに出来ていない」と感じるのではないでしょうか?親は子供の事を毎日見ているのでその見立ては大きく外さない事が多いのです。病院で「私は素人だから...」と言う発達障害を指摘されたお子さんのママと話していると、「鋭いな~」と感心させられる事がとても多いです。親の目は節穴ではありません。ですので、ここは自分の眼力を信じましょう。

次は能力があるのに出来ない理由について考えてみます。「うちの子はお片付けが出来ない!」と言う声をよく聞きますが、実は「やれば出来る子」だったりするのかもしれませんよ。

なぜ能力があるのに出来ないのか

なぜ能力があるのに出来ないのでしょうか。まず、頭(脳)に焦点を当てて考えてみます。私達の脳は様々な複雑な機能を備えており、専門的には「高次脳機能(こうじのうきのう)」と呼ばれています。交通事故などで脳が損傷を受けるとこれらの機能に障害をきたし「高次脳機能障害」と言う症状を呈します。交通事故などで頭を強くぶつけて記憶が無くなってしまうのも高次脳機能障害の一つです。

「お片付け」という作業も高次脳機能を存分に発揮して遂行される動作です。中でも特に「注意」という機能が特に大切になります。そして、「注意」という機能は時と場合によって強さが変化するのが特徴です。例えば、お腹が空いている時にデパ地下を歩くのとお腹が一杯の時にデパ地下を歩くのでは、美味しそうなお惣菜に向かう注意力は変わりますよね。お腹が空いている時の方がより強くお惣菜に注意が向かうはずです。「注意」という機能は、より強く興味のある方向に向かうようになっているのです。これをお片付けに当てはめて考えると、お片付けは子供達にとって楽しい作業ではないので注意が向きにくい動作であると言えます。なぜ能力があるのにお片付けが出来ないのか?その答えはお片付けという動作に「注意」が向かないから出来ないのです。

注意を向ける方法とは

注意が向かない理由を考えます。人間誰しも自分にとって難易度が高い事はやりたくないものですよね。まずはお片付けの難易度を下げる工夫が有効な手段の一つになります。また、注意には容量のようなものがあって、注意を向ける対象が増えるほど一つずつに向かう注意力は弱くなります。例えば、テレビを見ながらご飯を食べると子供の注意が食事だけでなくテレビにも向かうので、ご飯を食べるスピードも遅くなり、食べこぼしも多くなるのです。食事のように子供が好きな動作でさえも注意がテレビに向かう事でパフォーマンスが落ちるのですから、当然子供の好きで無いお片付けをやる時はテレビの電源をオフにした方が圧倒的にパフォーマンスは上がります。

報酬を与えてお片付けに対する注意を強化する方法もあります。「お片付けが出来たら〇〇していいよ」というやつです。お片付け→報酬、お片付け→報酬、と繰り返しす事でお片付けのスキルを高め、相対的にお片付けという動作のハードルを下げる事で報酬が無くてもお片付けを出来るようにする作戦です。

しかし、この方法は劇薬なので何も考えずに報酬を与え続けていると「報酬が無いと出来ない子」になってしまうので報酬の取り扱いには注意が必要です。報酬は「物で釣ってやらせる姑息な手段」のように思われがちですが、目的をしっかり考えて用いればとても良い道具となり得ます。

叱る時は目的を考えて

子供を叱る理由について深く考えてみると、親としても反省させられる点があったのではないでしょうか?今回は頭(脳)に焦点を当てて考えてみましたが、子供の能力を「頭」「身体」「心」の成長に分けて考えると、出来ない理由がとても理解しやすくなります。今回は割愛しましたが、お片付けを行えるだけの腕や指先の機能(身体)が発達してなければお片付けは出来ません。自分が遊んでいないオモチャを片付ける等の行為は相手の事を思いやる心が育っていないと出来ませんよね。子供が出来なくてイライラする時は、一度出来ない理由を考えてみると子供へのイライラも少しは解消されるかも知れませんね。さぁ、今日も子育てを楽しもう (*^_^*)v