きりんさんパパのあくび

共働きで二児の子育てに追われるパパの雑記。育児ネタ、簡単料理、家庭菜園、DIY、商品紹介など色々と書いています。作業療法士というリハビリの仕事をしています。

【就職活動】企業の新卒採用の仕組みが敗者に厳しすぎる件

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2017年度卒の広報活動が3月1日に解禁されました

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私が就職活動をしたのはもう十数年も前ですが、毎年就活開始の時期が変更されて就活生は大変そうです。 当時は大学3年生の秋頃にリクナビやらマイナビやらに登録して、早い業界だと年明けには選考活動開始、多くの業界で3月から5月にかけて選考活動がラッシュで、6月〜7月には内々定(正式に内定がもらえるのは10月1日)が出るみたいな流れでしたが、今は就職活動期間の短縮を図る為に就職活動の開始時期を遅くするのが流れのようですね。正直、こんなに毎年就活の開始時期でもめていたら学業にも身が入らないと思うのですが何とかならないものでしょうか。

大学生の就活に関する話題は毎年目にしますが、今も昔も人生の節目にあたる重要なイベントである事には変わりないと思います。しかし、大変な思いをしてやっとの思いで内定をつかんでも、入社後3年以内に離職する新入社員の割合は30%を超えるそうです。

新卒社員の平均離職率はこんなに高い!そろそろ仕事辞めたい新入社員が転職する頃?

改めてこの現実を目の当たりにすると、企業と学生のマッチングの難しさを感じざるを得ません。実は私自身、新卒入社した会社を半年で辞めた苦い経験があるのです。これから就活を始める人も、卒業間近なのに就職が決まらず絶望している人も、就職に失敗して会社を辞めたい人も、就職に関する悩みは人それぞれだと思いますが、私のしくじり体験がどこかで悩んでいる誰かの背中を押すきっかけになればと思い、当時を振り返ってみたいと思います。

大学新卒で入社した会社を半年で辞めた

日韓共同開催のワールドカップに日本中が盛り上がり、ベッカムヘアーと呼ばれるソフトモヒカンの男子が町中に溢れていた時代、私は不動産関係の会社に就職した。就職した会社は学生の就職したい会社ランキングで上位にランクインするような会社で友達からは羨ましがられた。どことなく足元がフワフワしていて浮かれていた。

入社後すぐに新入社員研修が始まった。業界の基礎知識や自分の会社の商品について、他社の商品と比べた際の優位性について、徹底的に叩き込まれた。覚える事が多くて大変だったが、仲のいい同期がたくさんいてさほど苦には思わなかった。「辛い事があってもお互い頑張ろうな!」なんて言いながら意気揚々と全国の営業所に配属されていった。私の配属された営業所ノルマが厳しい事で有名で、上司も先輩も新人に構ってる余裕なんてなかった。ストレスの捌け口は新人へと向かい、‘あたり’も厳しくなる。罵倒され続ける日々に、次第に体調がおかしくなってゆく。食事が喉を通らない、下痢が止まらない、夜中1時間ごとに起きる。ある日、高校で部活が一緒で同じ会社に就職していた2つ年上の先輩が勤務中に自殺した事を知った。先輩の顔が頭の中をちらつく。同期、先輩、上司、親にも相談した。精神科にも通院した。色々と手は尽くしたけれども状況は変わらなかった。結局、私は半年で会社を辞めた。

どんなに頑張っても就職がうまくいく保証はない

いい会社に入る為とか言われて小中高と一生懸命勉強しました、いい大学に入りました、いい会社に入りました、半年で辞めました。切ないけれどこれは現実だ。まるでゲームのリセットボタンを押すように簡単に、あの頃見ていた未来は散ってゆく。どんなに万全を期して就職活動に臨んだとしても、現場の空気感や上司や先輩との相性問題までは現場に出てみるまで分からない。大学を卒業したての学生の甘さや弱さは素直に認めた上で、努力や根性では説明しきれない現実がそこにはある。

会社を辞めた私はすぐに就職活動を始めた。新卒採用ではなく中途採用としての就職活動になるので、キャリアも知識も技術も無い自分にとっては不利でしかなかった。会社を辞めてみて初めて大学の看板を下ろした自分は無力である事に気が付いた。ハローワークにも通った。自分が出来る仕事は力仕事しか無い事を知って余計にショックを受けた。たった一回の就職の失敗でここまで状況が悪くなるとは考えてもいなかった。

結局、時間がかかるのは承知で医療系の専門学校に4年間通い国家資格を取得する事に決めた。お金が無いので奨学金を借りられるだけ借りた。朝5時に起きて近所のうどん屋でバイトしてから登校、下校後は深夜2時過ぎまで近所のスーパーでバイト、空き時間は全て勉強に費やした。医療系の学校はレポートの提出や長期間の臨床実習も多く、学費を返済しながらの学生生活は想像以上にハードなものだったが無事に国家試験に合格。実習でお世話になった病院に就職が決まった。

体がおかしくなるまで頑張る必要はない

今は結婚をして妻と2人の子供がいる。平凡ながら毎日がとても楽しく、そして何より体調がすこぶるいい。当たり前と思っていた日常がとてもありがたく特別なものだと感じられるのは、心も身体も健康になった証拠だろう。頑張りが足りないと思うのであれば納得のいくまでやればいい。でも、努力の及ばない部分でもがき苦しんでいるのならば、自分を責め過ぎないで欲しい。産みの苦しみなんて言うけれど、身体に危険が及ぶようならば一度身を引くのも勇気だと思う。単なるボタンのかけ違いなのか、そもそもボタンのサイズが合っていないのか、その答えは今すぐ分かるものではないかも知れないけど、どうか体調にだけは気を付けて欲しい。前を向いていれば必ずやり直すチャンスはやってくる。 

企業の採用活動の問題点と今後に期待する事

有効求人倍率はバブル以来の高水準なんてニュースを耳にしたけど、それは会社を選ばなければという意味であって、行きたい会社に入社しやすいという意味ではない。どこでもいいから就職したいという訳でなければ今も昔も就職活動の厳しさは変わらない。

敗者に復活するチャンスが極端に少ないという点も昔から変わっていない。新卒で入社した会社が合わなかったりで辞めてしまった場合、再就職するのは本当に厳しい。一度の失敗も許されないのが現実だ。

一度就職を失敗したら、その後の人生は妥協して選択した就職先で全うしなければならないのか。一生我慢して暮らさなければならないのか。会社を辞めなかった人が優れていて、辞めた人が劣っているのか。そんなはずは無い。

問題なのは多くの企業が入社条件に新卒入社を挙げている事であり、たった一度失敗するだけで応募条件から外れてしまう事にある。

新卒の肩書きを守る為だけに就職浪人する人がいる。涙を飲んで不利な条件を受け入れた人がいる。新卒と言う肩書きを失った新人が再就職を目指すハードルはあまりにも高すぎる。

会社に適応出来ずに会社を辞めた自分を棚に上げる訳では無いが、短期間で会社を辞めた人間が全て「根性無し」で片付けられてしまう現状が今も変わっていない事に少し寂しさを感じてしまう。

一億総活躍社会と言うのならば、一度就職に失敗した人間にもう少しやり直すチャンスが与えられる世の中であってもいいのではないだろうか。